マシニング加工とフライス加工の違いを徹底比較|精密部品製作の基礎知識
金属部品の製作を依頼する際、「マシニング加工」と「フライス加工」という言葉を耳にすることがあります。どちらも切削加工の一種ですが、具体的にどのような違いがあるのか、どちらを選ぶべきなのか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、マシニング加工とフライス加工の違いを詳しく解説し、用途に応じた最適な選択方法をご紹介します。
マシニング加工とフライス加工の基本的な違い
フライス加工とは
フライス加工は、回転する切削工具(フライス)を使用して、金属材料を削り取る加工方法です。フライス盤という工作機械を使用し、主に平面削りや溝加工、段付き加工などを行います。
フライス盤には「汎用フライス盤」と「NC(数値制御)フライス盤」があり、汎用機では作業者が手動でハンドルを操作して加工を行います。一方、NC フライス盤ではプログラムによって自動的に工具が移動しますが、基本的な加工原理は同じです。
マシニング加工とは
マシニング加工は、マシニングセンタ(MC)と呼ばれるCNC工作機械を使用した加工方法です。マシニングセンタの最大の特徴は、「ATC(自動工具交換装置)」を搭載していることです。
この機能により、1台の機械で複数の工具を自動的に交換しながら、穴あけ、フライス削り、タップ加工、リーマ加工など、様々な加工を連続して行うことができます。つまり、マシニング加工はフライス加工を含む、より高度で複合的な加工方法と言えます。
両者の主な違いを比較
自動化レベルの違い
フライス加工
- 汎用機では作業者の技能に依存する部分が大きい
- NCフライス盤でも工具交換は手動
- 1つの工具で完結できる加工に適している
マシニング加工
- プログラムによる完全自動化が可能
- 工具交換も自動で行われる
- 複雑な形状も無人運転で加工できる
加工精度と再現性
フライス加工では、特に汎用機を使用する場合、作業者の技能によって精度にばらつきが生じる可能性があります。一方、マシニング加工ではプログラム制御により、同じ品質の製品を安定して生産できます。
製造業の自動化が進む現代では、再現性の高いマシニング加工が主流となっています。特にロボットティーチング用の治具や自動化設備の部品では、寸法精度の安定性が重要であり、マシニング加工が適しています。
加工可能な形状の複雑さ
フライス加工は比較的シンプルな形状の加工に向いています。平面削り、溝加工、段差加工などが基本的な加工内容です。
対して、マシニング加工では以下のような複雑な加工が1回のセッティングで可能です。
- 複数の角度からの穴あけ
- 深いポケット加工
- 複雑な3次元曲面加工
- タップ加工を含む複合加工
- 異なる径の穴を複数開ける加工
コストと納期の違い
一般的に、シンプルな加工であればフライス加工の方がコストを抑えられます。特に1個だけの試作品や、形状が単純な部品では、汎用フライス盤による加工が経済的です。
しかし、複雑な形状や複数工程が必要な部品では、マシニング加工の方がトータルコストで有利になるケースが多くあります。1台の機械で全工程を完結できるため、段取り時間や工程間の移動時間が削減されるためです。
愛知のロボット関連企業では、精密な位置決めが必要な部品が多くマシニングセンタを活用したワンストップ加工が納期短縮とコスト削減に貢献しています。特に複数の加工工程を必要とする部品では、自動工具交換により無人加工が可能なマシニング加工が効率的です。
用途に応じた最適な選択方法
フライス加工が適しているケース
以下のような場合は、フライス加工が適しています。
- 平面削りや溝加工など、シンプルな形状の加工
- 1個だけの試作品で、プログラム作成コストを抑えたい
- 大型部品で、大型フライス盤でしか加工できない
- 加工面積が広く、大径の工具を使用する場合
- 熟練技能者の手作業による微調整が必要な加工
マシニング加工が適しているケース
以下のような場合は、マシニング加工が最適です。
- 複数の工具を使用する複雑な形状
- 高精度が要求される精密部品
- 同じ形状を複数個製作する場合
- 穴あけとフライス削りを組み合わせた加工
- 短納期での対応が必要な案件
- 無人運転による24時間稼働を想定する場合
特に製造業の自動化設備用部品では、複数の加工工程を必要とするケースが多いため、マシニング加工が標準となっています。
加工精度を高めるためのポイント
適切な工具選定
どちらの加工方法でも、材質や加工内容に応じた適切な工具選定が重要です。切削速度、送り速度、切り込み量などの条件も、工具と材質の組み合わせによって最適化する必要があります。
工作物の固定方法
加工中の振動を抑え、高精度を実現するには、ワークの固定方法が重要です。特に薄肉部品や複雑形状の部品では、専用治具の使用が精度向上の鍵となります。
クーラントの使用
切削油(クーラント)の適切な使用は、工具寿命の延長と加工面品質の向上に不可欠です。材質や加工条件に応じて、クーラントの種類や供給方法を選択します。
発注時に確認すべきポイント
金属加工を外注する際は、以下の点を業者に確認しましょう。
確認事項
- 保有する機械設備(マシニングセンタの台数、フライス盤の種類)
- 加工可能なサイズ範囲
- 対応可能な材質
- 納期(通常納期と特急対応の可否)
- 最小ロット数
- 品質保証体制(測定機器の有無、検査成績書の発行)
特に複雑な部品や高精度が要求される部品では、加工実績や技術力を確認することが重要です。ホームページでの事例紹介や、実際の加工サンプルを見せてもらうことで、業者の技術レベルを判断できます。
まとめ
マシニング加工とフライス加工は、どちらも切削加工の重要な手法ですが、それぞれに適した用途があります。シンプルな形状で少量の加工であればフライス加工、複雑な形状や複数工程が必要な場合はマシニング加工が適しています。
現代の製造現場では、マシニングセンタによる高精度・高効率な加工が主流となっていますが、用途によっては従来のフライス加工が最適な場合もあります。部品の形状、精度要求、ロット数、納期、予算などを総合的に判断し、最適な加工方法を選択することが、成功する部品調達の鍵となります。
金属加工を依頼する際は、信頼できる業者に相談し、最適な加工方法の提案を受けることをお勧めします。


